















将来の歯並びを見据えた
小児矯正 Future dental alignment
歯並びの状態は、舌や唇などお口まわりの筋肉の使い方や癖、生活習慣、さらに永久歯の生え方などにより個人差が出てきます。小児矯正では、こうしたさまざまな要因にアプローチし、永久歯がきれいに並びやすくなるよう環境を整えることを目的としています。
お子様の成長を利用して行うため、将来的に抜歯をせずに済むなど、成人矯正にはないメリットがあります。お子様の歯並びが気になっている方は、ご検討ください。




歯並びが崩れる前に
気づくべきサイン check
- ボーっとしているときにお口がぽかんと開いている
- 3歳を過ぎても指しゃぶりが続いている
- 滑舌が悪く言葉が聞き取りにくい
- よく舌を前に出したり唇を噛んだりする
- 頬杖やうつ伏せで寝る習慣がある



なぜ早めの矯正が大切なのか?

小児矯正の主な目的は、永久歯が適切な位置に生えるためのスペースを確保すること、そしてお口が正常に機能するために、舌や唇などの筋肉バランスを整えることにあります。
対象となるのは、乳歯から永久歯に生え変わる6~12歳ごろで、顎の成長や発達を活かして治療を進めることができます。効果をより高めるには、8歳頃までの治療の開始が望ましいとされており、将来的な抜歯や外科手術の必要性を抑えることにもつながります。
矯正治療が必要な歯並び Symptoms

叢生(デコボコ)
歯が重なり合ったり、位置がずれて生えている状態です。乳歯の早期脱落や、生え変わりのタイミングを逃して放置されると、歯列の乱れが生じやすくなるといわれています。隣接する歯との段差ができやすく、磨き残しが発生して歯石やプラークが付着しやすいです。また、食事のときに唇や頬の粘膜を巻き込んで噛みやすいのも叢生のデメリットといえるでしょう。

上顎前突(出っ歯)
上顎の前歯が前方に傾いている、もしくは上顎全体が前方に出ている状態です。中等度や重度の場合は、唇を自然に閉じられないケースも少なくありません。口呼吸につながりやすく、その結果、虫歯や歯周病のリスクも上がります。

下顎前突(受け口)
下顎の前歯が前方に傾いている、もしくは下顎全体が前方に出ている状態です。問題のある歯並びのなかでも外見の印象に影響しやすく、コンプレックスに感じる方も少なくありません。

過蓋咬合
奥歯を噛み合わせた際に、上顎全体が下顎全体を深く覆っている状態です。上顎の前歯が下顎の前歯を覆うこと自体は正常ですが、極端に深すぎると下顎の前歯で粘膜を傷つけたり、奥歯に過剰な力が加わることがあり、噛み合わせのバランスが乱れているケースが少なくありません。

交叉咬合
噛み合わせた際に、上下の歯列の一部が左右にずれている状態です。歯の並びが原因であれば、矯正による対応が可能な場合がありますが、骨格に起因している場合は外科的処置が必要となることもあります。
こうした骨格的な問題は、成長期に発見・改善することで、将来的な抜歯や手術の回避につながる可能性があります。お子様の負担を軽減するためにも、顎の発育が活発な時期に小児矯正を検討することをおすすめします。

開咬
奥歯で噛んだときに、上下の前歯の間にすき間ができ、しっかり閉じない状態です。原因としては、前歯の萌出が不十分なケースのほか、舌を前に出す癖や指しゃぶりの習慣などが関与することがあります。前歯同士が接触しないことにより、発音や滑舌に支障をきたすこともあり、お口のなかが乾きやすくなることで、むし歯や歯周病のリスクが高まるとされています。
矯正治療のステップ

Ⅰ期治療
専用の装置を使って乳歯と永久歯が混ざっている段階の歯並びを整えます。乳歯と永久歯は1本あたりのサイズが異なりますが、顎骨を広げる装置で永久歯がきれいに並ぶためのスペースを抜歯をせずに確保することが可能です。
また、矯正治療とは別に、唇や舌、頬といったお口周りの筋肉のバランスを整える「口腔筋機能療法(MFT)」を並行して行う場合があります。お口周りの筋肉が正常に機能していると、将来の歯並びが整いやすく、口呼吸や発音・滑舌の改善、食べ物の詰まり防止にも役立ちます。

Ⅱ期治療
Ⅰ期治療である程度整った歯列を、成人矯正と同様の装置を用いて微調整していきます。さらに小児矯正ではⅠ期治療がメインとなりますが、歯の位置や噛み合わせの状態によっては、Ⅱ期治療が必要と判断されるケースも少なくありません。Ⅱ期治療を実施するかどうかは、Ⅰ期治療終了時点の状態をみて歯科医師が判断します。
当院の小児矯正で使用する器具 APPLIANCE
クワドヘリックス
歯列の幅を広げるための装置で、基本的には上顎に装着します。固定式のため、食事やお手入れのときに取り外すことはできません。永久歯が生えるスペースの確保や、歯並びの改善を目的に使用します。
ヘッドギア頭頂部や後頭部にベルトを掛けて、上顎骨の成長を抑えるほか、前歯の突出を防いだり、大臼歯を後方へ移動させたりする際に用いられます。1日あたり10~12時間程度の装着が推奨されます。
エフカーオー(FKO)
取り外しが可能な装置で、顎骨の成長を促す装置です。1日10時間以上の装着が目安です。上下が一体となった構造で会話がしづらいため、就寝中の装着がおすすめです。
ワイヤー矯正
歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる器具を貼り付けて、そこにワイヤーを通して歯並びを少しずつ動かしていく方法です。固定式のため、食事やお手入れのときに取り外すことはできません。Ⅱ期治療で使用するケースがほとんどです。
- MFT
口腔筋機能療法(MFT)
唇や舌、頬などお口周りの筋肉を正しく機能させるためのトレーニングです。MFTでは矯正装置などは使用せず、日常的な動作の改善を目的として訓練を行います。治療後の後戻りを予防しやすくなるとされており、口呼吸や発音の改善にも効果的です。